子供の足
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 こんな夢を見た。
 幼いわたしは自分のアパートに友達の女の子を連れてきた。
 部屋には誰もいなかった。
 アパートに部屋は二つしかなかった。わたしと女の子は、玄関を入って向かって右側の普段居間として使っている部屋に入った。しばらくの間、二人はたわいもない話をして過ごしていたのだが、ふと隣の部屋からなにやら物音が聞こえた。
「隣の部屋で音がした」
 二人以外は誰もいないはずなのに、隣の部屋から音がする。二人は気のせいだろうと思っていたのだが、しばらくほっとくと、だんだんそれでは済まないくらいはっきり聞こえるようになってきた。
 わたしと女の子は気になって隣の部屋を見に行った。隣の部屋の扉を開けた瞬間、二人には何が起きているのかすぐには分からなかった。
 部屋の中には、黒ずくめの強盗、その後ろには女の子の服を着て泣いている弟がいた。わたしはその事実が呑み込めてくると、にわかに恐ろしくなり、どうすればいいのかと必死に考え始めた。そして、弟と一緒に強盗を倒そうと結論を出した。
 強盗は三人に襲いかかってくる。わたしと弟は強盗を倒そうと必死に抵抗を試みる。女の子は側でただじっとその様子を見ている。
 わたしと弟は、長い戦いの末、なんとか強盗を捕らえることに成功した。わたしが風呂場の前で強盗に馬乗りに跨っている。わたしと弟、そして女の子にも笑顔が戻り喜んでいた。
「やった!」
と言ったそのとき、強盗は懐からナイフを取り出し、跨っているわたしの右足を切断しようとした。
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